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伝染病混合ワクチン

伝染病混合ワクチン
 母体から新生仔に与えられた病気に対する抵抗力(免疫)は、成長とともに自然に失われていきます。 その為、様々な病気の影響を受けると取り返しの付かない事になるおそれがあります。従って、自分自身で免疫を作り、病気を予防する必要が出てきます。
 このために、予防接種があります。

 混合ワクチン接種は、成長した動物達では、年に1回の接種となっています。
猫のエイズワクチン接種のみ特殊で、成長した猫でも最初計3回の接種が必要となります。
しかし、新生仔のワクチン接種は、1回の接種では、正確に免疫が作られないことがほとんどなので、しっかりとしたワクチン接種プログラムが必要となります。

「母子免疫」
 妊娠期間中、胎仔は、ある程度の病原体に対する免疫を、母体から胎盤を通じてもらっています。また、生後すぐに飲む初乳より、抗体や免疫力をつけてくれる物質を与えられます。これを母子免疫といいます。

混合ワクチン接種プログラム(新生仔)
 予防接種とは、伝染病の原因となるウイルスなどの病原力を弱め無害化し(ワクチン)、からだに接種して病気に対する抵抗力(免疫)をつくることを指します。
 新生仔では、母子免疫があることにより、この接種したワクチンを攻撃し処分してしまうことにより、目的である免疫力がつかない可能性があります。また、母子免疫がない場合でも、新生仔は病原菌に対する免疫をつくる能力がすくないため、1回のワクチン接種では充分な効果が得られないことがすくなくありません。
 従って、新生仔では、3~4週間毎の2~3回のワクチン接種プログラムが各病院で実施されています。ワクチン接種回数はワクチンの種類や新生仔の状態や環境により異なりますので、獣医師にご相談下さい。

混合ワクチンの種類

パルボ単独ワクチン、2種混合、4種~9種混合ワクチンまであります。
ジステンパー、パルボウィルス、肝炎感染症などは命にかかわる病気です。
(扱われるワクチンも動物病院で異なっています)

・パルボウイルス 激しい下痢・おう吐を起こし、衰弱する。
子犬の突然死はウイルス性心筋炎が原因。
・ジステンパー くしゃみ、鼻水、目やになどが出て、発熱、下痢、鼻炎、結膜炎、呼吸器及び消化器症状を示し、神経症状が出ることもある。

上記二つは、致死率が高く、重度の後遺症を残すことがあります。
(パルボ:心臓疾患 ジステンパー:呼吸器疾患、脳神経疾患)

・犬伝染性肝炎 犬アデノウイルス1型の感染。
下痢、おう吐、食欲不振などを示し重度の肝障害を引き起こします。
・犬アデノウイルス2型 犬伝染性喉頭気管炎はケンネルコフの原因の一つ。
咳を主な症状とする呼吸器系疾患を起こします。
・犬パラインフルエンザ ケンネルコフの原因の一つ。咳、鼻水などの呼吸器症状を示します。
・犬レプトスピラ(3種) 人獣共通伝染病です。感染動物の尿中から細菌が排泄され環境を汚染します。
症状は尿毒症、腎炎、黄だんを起こします。
・犬コロナウイルス 嘔吐下痢を起こし、パルボウイルスの混合感染で重篤になります


白血病単独ワクチン、3~5種混合ワクチン、エイズワクチンがあります。
接種するワクチンや動物の状態により、接種前、感染の有無を検査することがあります。
下記にあげる感染症のうち日本では、伝染性腹膜炎のワクチンだけありません。

・汎血球減少症 子猫の突然死、腹痛、発熱、下痢を起こし、死に至ることもあります。
・ウィルス性鼻気管炎 くしゃみ、鼻水発熱、角膜炎、結膜炎がみられ、重症では死亡します。
キャリアー猫が存在し、他の健康な猫への感染源となります。
・カリシウィルス感染症 口腔内の潰瘍急性角結膜炎、発熱等が見られます。
・白血病 貧血、慢性鼻炎、体重減少、口内炎など様々な症状があります。
発症するると致死率の高い疾患です。
・クラミジア感染症 慢性持続性の結膜炎主で、鼻水、クシャミ、咳がみられ、気管支炎や肺炎などを併発し、重症に陥ることもあります。
・エイズ 猫後天性免疫不全症候群(猫免疫不全ウィルス感染症)といいます。
免疫機能の低下を引き起こし元気であれば問題ない感染症で重い症状を出してしまったりします(日和見感染)。
時にウィルス血症をおこすと高熱を発症し死につながります。

注意:人のエイズとは異なるので、人には感染の報告はありません。
感染しているだけであれば、健康な猫と変わりなく生活を送る事ができます。

・伝染性腹膜炎 "ウエットタイプ"は、発熱や下痢、貧血等と供に腹水や胸水がたまっておなかが膨れたり、呼吸困難がみられる。
"ドライタイプ"は、発熱がみられ、症状からは見つけにくい疾患で、麻痺や痙攣などの神経症状を引き起こしたりすることもある。
発症すればほとんど助かりません。
葛飾区柴又のだいき動物病院 画像146